いいことばかりじゃない?リビング階段のメリット・デメリット

リビングの一角に階段を設ける、いわゆるリビング階段を、自宅の間取りに取り入れることを検討している人も多いのではないでしょうか?

リビング階段には多くのメリットがあります。ただ、リビング階段ならではの見逃せないデメリットというのもあるのです。

リビング階段の最大のメリットといえるのは、2階に行くのに必ずリビングを通ることになるので、家族が顔を合わせる機会が増えるということです。ここに魅力を感じてリビング階段を採用したいと考えている人も多いですよね。

例えば学校から帰ってきた子どもの様子がおかしい、いつもより話をしたがらない…など家族の小さな変化にいち早く気づくきっかけになることは間違いありません。

また、1階と2階の空間につながりができるので、声を掛け合ったりといったコミュニケーションがとりやすいというのもリビング階段ならではの利点です。

ただ、よく巷で言われるように《リビング階段だから子どもとのコミュニケーションがしっかりとれて、健やかに育つ》というのは、少し言い過ぎかもしれません。

リビングを必ず通るからと言って、必ず子どもが話をしたがるとは限りませんし、一度子ども部屋にこもってしまえば、階段がどうであろうと無意味です。あくまでも、家族の関係に関わらず親が子どもの様子を確認できるのがメリットという程度に捉えておいた方がよいでしょう。

リビング階段の明確なメリットは、実は空間的な部分にあると言えます。リビングに階段を設置することで、天井が一部なくなるので、抜け感をつくり広く感じさせる視覚効果が得られるのです。吹き抜けと組み合わせると、さらに広がりのある空間に見せることができます。

一方でリビング階段のデメリットとしてよく話に上がるのが、冷暖房効率が悪く、特に冬は寒いのではないか?ということです。確かに、2階に抜ける開口部がある以上、閉じた空間よりは暖まりにくく、冷えにくいことは否定できません。

しかし、家自体の気密性・断熱性を高めたり、床暖房で下から空間全体を暖めるなどの工夫によって、この点に関してはかなり緩和することが可能です。

むしろ上でメリットとして紹介した《出入りの際に必ずリビングを通る》《1階と2階の空間がつながる》ということが、デメリットに転じてしまう可能性があることの方が問題です。

出入りの際に必ずリビングを通るということは、家族だけでなく子どもの友人のようなリビングに通す必要のない来客も、リビングを経由しなければ2階に上がることはできないということです。それを想定すれば、やはりリビングはある程度いつでもきれいに片付いていることが望ましいですが、忙しい時や共働き家庭などではそれが難しいこともあるでしょう。

また、逆に2階から1階のお風呂や洗面に行きたい場合にもリビングを通らなければなりません。休日にのんびり寝ていたお父さんが、来客中のリビングに起き抜けの恰好で降りてきてしまう…なんていうことも起こり得るわけです。

さらに、1階と2階のつながりが良く声が通りやすいということは、裏を返せば、1階の音やニオイが2階に筒抜けになりやすいということでもあります。遅い時間帯のリビングのテレビの音や生活音が子どもの睡眠を妨げたり、料理のニオイが家全体に回ってしまったりすることが考えられます。

ただしこれらのデメリットは、家庭によっては、気にならなかったり、問題にならないことかもしれません。

つまり、リビング階段は適した家とそうでない家というのが比較的はっきり分かれる設備なのです。メリット・デメリットを正しく把握したうえで、我が家にあった階段の形かどうかを判断しましょう。