業者選びは慎重に…3階建て住宅の意外な注意点とは?

立地条件を優先すると、どうしても土地の坪単価は高くなっていきます。それでも周辺環境の良い地域に住みたい・通勤などの利便性を重視したい、という場合には、予算内で購入可能な狭小地を選ぶというのも1つの方法です。

そしてそのようなケースで、家の広さやゆとりある間取りを確保する手段として、3階建ての住宅にすることを検討する方も多いのではないでしょうか?

狭小地でも3階建てなら、3LDK以上の一般的な間取りを取ることは不可能ではありません。立地条件も広さもあきらめたくない人にとっては、とても効率の良い家の建て方だと感じられますよね。

ただし3階建て住宅にもデメリットはないわけではありません。パッと考えただけでも、『実際3階までのぼるのは大変そう…』、『家事をするときに階段の上り下りが多くなりそう…』など、主に階段にまつわるデメリットが思い浮かぶと思います。

それに加えて、3階建て住宅には知らない人には全然見当もつかないであろう意外な注意点があります。それは、3階建て住宅は2階建て住宅よりも建築に関して制約が多いということです。

戸建て住宅を建築する際には、建築確認申請と言って国に『こんな建物を建てますよ』という申請をしなければなりません。3階建て住宅の場合は、この建築確認申請の際に《構造計算書》という2階建ての場合には不要な書類を添付する必要があります。

というのも、3階建て住宅は2階建て住宅に比べて高さが出る分、どうしてもバランスが悪くなりやすくなってしまいます。そこで設計段階で梁や柱、壁の位置などが十分な強度・耐震性を期待できるつくりになっているかどうかを確認することが義務付けられているのです。

この構造計算や、構造計算書の作成は専門的な作業になるので、相応の費用が掛かります。しかも、必要な強度を確保するために、2階建て住宅よりも使用する資材の量が多くなったり、より丈夫な材質のものを使わなければならないこともあるので、その点でもやや費用が割高になりやすいのも3階建て住宅の特徴です。

また、3階建て住宅では、同じ延べ床面積の2階建て住宅よりも狭い土地面積に建物の重量が集中することになります。したがって、地盤改良もより厳重に強固に行う必要があります。

このように、構造上、2階建て住宅よりも手間がかかり、コストがかさみやすいのが、3階建て住宅のあまり知られていない特徴の1つなのです。また、こうした構造上の制約は間取りにも影響を及ぼすことがあります。

かといって、コスト節約や間取りの自由度を取るために、こうした構造を維持するうえで必要な出費を惜しむのは非常に危険です。

地盤改良や使用する資材の質を落としたり、構造上必要な壁を広さを優先するために減らす形になるような仕様変更をしてしまうと、耐震性が落ちたり、風で建物がゆれやすくなったりといったリスクがあります。

業者によっては、こうした危険な変更も、コストカットや施主の希望を優先するためにきちんとリスクを説明せずに実行してしまうケースが少なからずあります。

どんな形の家でもそうですが、3階建て住宅を建てる場合は特に、質が良く信頼できる住宅会社を選ぶことを重視するようにしてください。