南向きがいいとは限らない!?ベストな家の向きはこうやって決める!

土地を選ぶとき、その土地の向き、つまりどの面が道路に面しているかというのは気になるポイントの1つですよね。

一般的には、日当たりを考えると、家を建てる土地は南向きが望ましいとされています。できれば南向きの土地に南向きの家を立てたいと考えている人は少なくないでしょう。

しかし、それは本当にベストな選択肢なのでしょうか?

結論から言えば、真南を向いた土地に真南に正面玄関が来る家を建てるというのは、必ずしも最良の方法ではないかもしれません。というのも、南向きの家は、実は日当たりの面では最も効率が良いとは言えないからです。

当たり前のことですが、太陽は東から昇って南の空を通り、西に沈んでいきます。したがって、南を真正面に取った家では日中のほとんどの時間、その面に日光を受け続けることができるわけです。

しかし、それは逆に言えば、日中のほとんどの時間、家の南側1面にしか日が当たらないということでもあります。家の中は当然、いくつかの空間に区切られているわけですから、南に面してない部屋では十分な日照を得られる時間が極端に少なくなるわけです。

しかも南向きの家では、一日の大半は無人になってしまう玄関が南面の一角を占めることになります     
。貴重な南面の少なくないスペースを、人の滞在時間が極端に短い玄関に費やしてしまうのは、あまり有効活用とは言えないと思いませんか?

実際、我が家はほぼ真南を向いているのですが、常に明るく日差しが入る玄関を見ると、なんだかもったいない気持ちになることがあります。

さらに言えば、太陽の動きの幅や高さは季節によって大きく変わってきます。例えば、太陽の移動幅が大きい夏季の西日はほぼ北西側から差し込むのです。

したがって、『北は絶対日が当たらない』『東の窓からは必ず朝日が差し込む』などと、通り一遍の考え方で南向きの家に窓を設置してしまうと、思ったような日照が得られない可能性が高いのです。

もう1つ、南向きの土地に南向きの家を建てることにはデメリットがあります。それは、家の正面が道路に面しているのでプライバシーが保ちにくいということです。

家の中で最も日当たりが良い場所、つまり南面にリビングを持ってくるのが、家づくりでは一般的ですよね。

しかし、南向きの土地に建てた南向きの家でそれを採用してしまうと、リビングの窓はほぼ確実に道路に面する形になってしまいます。これでは、リビングの窓を大きく開け放したり、日当たりの良い窓辺でカーテンを開けてくつろぐことはなかなかできないでしょう。

かといって、南面に目線を遮るほどの塀や植栽を設けてしまうと、肝心の日当たりが得られなくなってしまいます。

こうした南向きの家のデメリットを避けつつ、南からの日照を十分に生かす方法として、南向きの土地に東南寄りに傾けて家を建てるという方法があります。

東南に家を向けると、基本的に家の2面に日光が当たるようになるうえに、道路と正対しないので通行者の視線を受けにくくなるのです。

また、北向きの土地は日照が得にくいと思われがちですが、南側の隣接地の状況などによっては必ずしもそうとばかりは言えません。北向きの家では南面をすべて居住空間に費やすことができるので、もしそれなりの日当たりが期待できるようなら、むしろ南向きの土地に建てるよりも居心地の良い間取りの家になる可能性もあるのです。

家の向きは日照やプライバシーを左右する、とても大切な要素です。『絶対にこの向きにするべき!』とこだわりすぎず、土地や周辺環境に合わせて柔軟に考えてみましょう。