『子育てしやすい家』と『子どものための家』は違うかも!?

家を建てることを考えはじめる時期というのは、おそらく子育て真っ最中の時期とかぶっている人が圧倒的に多いと思います。

中には、これから大きくなっていく、あるいは生まれてくる子どものために家を建てることを決断したという方もいるのではないでしょうか?そんな方にとっては、《子ども》という要素は、家づくりをする上で重要なポイントの1つになってきますよね。

もちろん、家族の一員である子どものこともきちんと考えて家をつくるのは、当たり前ですし、必要なことでもあります。このブログでも《子育てしやすい家》にするためのコツをすでにご紹介しています。

ただ、もしその《子ども》という要素の優先度が高くなりすぎて、《子育てしやすい家》を通り過ぎて《こどものための家》になってしまうと、数年後に思わぬ後悔をすることになるかもしれません。

人は、どうしても今現在の状況を軸にして物事を考えてしまいがちです。しかし、家というのは、数年後、十数年後もほとんど同じ形でそこにあり続けるものです。

したがって、家づくりという作業に関しては、今現在だけでなく先々のことまでしっかり考慮にいれて進めていくことが何よりも重要になります。

それを《子ども》という要素に当てはめてみると、子育て期間にはそもそも限りがあります。その限られた子育て期間の中でも、乳幼児期と学童期、さらに思春期と、子どもはどんどん成長していきます。それに合わせて生活スタイルや親とのかかわり方も大きく変化していくのです。

例えば、今現在、就学前~小学校低学年くらいの小さなお子さんがいるという場合、まだまだ親に甘えたり、生活の手助けをしてもらいたい時期ですし、元気いっぱい身体を動かして遊びたい年頃でもありますよね。

そんな我が子が暮らしやすい家を考えると、リビングに専用の勉強スペースを設けてあげよう、子ども部屋は個室ではなくオープンな間取りにして、元気に走り回ったり、いつでも声を掛け合えるようにしよう…など、様々なアイディアが浮かぶかもしれません。

しかし、こうした今現在の子どもの状況をベースにした間取りや設備というのは、数年後には成長した子ども自身が嫌がったり、使わなくなってしまうケースというのも少なくありません。

そうなると、これらの子どものためのスペースというのは無駄な空間になってしまいます。家づくりにおいて変化の幅が大きい子どもの優先度を高くしすぎることには、このようなリスクがあるのです。

もしこうした子供のためのアイディアを取り入れたいのであれば、子ども部屋は後から間仕切りをつけたりできる可変性の高い間取りにしておく、ワークスペースは子どもに合わせたサイズ感ではなく親も活用できるような位置や広さにしておく、などの一工夫が必要でしょう。

今、我が子が喜ぶ家を建てたいと考えるのは、まったく悪いことではありません。親として自然な気持ちだと思います。しかし、それが何年たっても家族みんなが楽しく快適に暮らせる家を建てることにつながるかどうかということは、常に意識して考える癖をつけておくことが大切です。