見た目の違いだけじゃない!?知っておきたい屋根の種類と特徴

注文住宅では、屋根の形状にもある程度は自分の希望を反映することができます。とはいえ、家の内装や設備などとは違い、屋根に関しては『こんな形にしたい!』という明確なイメージを持っている人というのは、なかなかいないのではないでしょうか?

しかし屋根をどんな形にするのかということは、家の外観を決定づけるとても重要なポイントです。また、屋根の形状によって、見た目だけでなく、雨漏りのリスクやメンテナンスのしやすさなど、機能性も少なからず変わってくるのです。

そこで今回は、戸建て住宅で主に採用されている、4種類の屋根の形状とそれぞれの特徴について解説してみたいと思います。

まず1つ目は、切妻屋根です。これは2つの面を向かい合わせて、正面から見ると三角形になるような形で構成されている屋根です。一般的な《おうちの屋根》のイメージに最も近い形と言えるでしょう。

シンプルな形状なので施工もメンテナンスも容易で、コストも比較的低く抑えられます。傾斜が急なので、水はけがよく雪も積もりにくく落ちやすいのが特徴です。

ただしそのシンプルすぎる見た目は、いまいちおしゃれとは言いにくく、最近では採用する住宅は減ってきています。

切妻屋根にとって代わるような形で、最近の主流になってきているのが、寄棟屋根です。打ち合わせの際に、屋根に関してなんの要望も出さなければこの形状になる可能性が高いでしょう。

事実、当時は特に屋根にこだわりも知識もなかった筆者の自宅は、言われるがままに寄棟屋根になっています。

寄棟屋根は切妻屋根の倍、4つの面で構成されており、見た目はほぼ台形に近くなります。4面で支え合っているので、風に強く、台風などで破損する確率が比較的低いのがメリットです。

ただし4つの面を組み合わせるという複雑な構造上、《かき合い》と呼ばれる接合部が弱くなりやすく、雨漏りのリスクがあります。メンテナンスコストもやや高めです。

3つ目は片流れ屋根です。その名の通り、1面だけに傾斜がついており、まるで三角形を半分に割ったような形になっています。見た目がすっきりとしてモダンな印象を与えるため、狭小住宅を中心に人気が出てきています。

太陽光パネルを設置することを検討しているのであれば、この片流れ屋根は非常におすすめです。他の形状の屋根と比べて傾斜面が広くなるため、最大限の面積で効率よく太陽光パネルを設置することができるのです。ただし傾斜面が南を向いていることが必須条件となります。

なお、この1面だけが傾斜しているという形状には、デメリットもあります。雨が流れる方向が偏って雨どいがあふれやすいのです。片流れ屋根を採用するのであれば、雨どいは通常よりも容量の大きなものが必要になります。

4つ目、最後にご紹介するのは陸屋根です。これは、ほぼ傾斜をつけない平らな形状の屋根です。RC造(鉄筋コンクリート造)の住宅でよく採用されており、逆に木造住宅ではほとんど見かけません。

陸屋根の最大のメリットは、屋根部分を屋上スペースとして利用できることです。周りに高い建物の少ない地域では、庭よりもプライベート性を確保しやすく、様々な形で活用できるでしょう。

ただし平らであるゆえの弱点もあります。雨やゴミなどが流れていかず、溜まってしまいやすいことです。時には、雨漏りにつながってしまうこともあります。

陸屋根を採用するのであれば、防水対策はかなり厳重にしなければなりませんし、完成後もこまめなチェックとメンテナンスが必要になります。

主要な屋根形状の違いはおわかりいただけたでしょうか?性能も考慮したうえで、我が家にぴったりな屋根の形を考えてみてください。