コストは?暖かさは?何かと気になる床暖房のホントのところ

家を建てる際に、床暖房をつけるか悩む人は多いと思います。最近ではマンションや建売住宅などでもリビングダイニングに床暖房が設置されているものを頻繁に見かけるほど台頭してきていますし、注文住宅なら1階全体に床暖房を張り巡らす仕様を用意している建築会社も珍しくありません。

ただ、それまで床暖房のない生活をしていると、実際のところどれほど暖かいのかということがピンと来ないものです。しかも床暖房を設置しようと思うと数十万円からの費用がかかる上、ランニングコストが高いなどという噂も聞くので、コスパが気になってためらってしまうということもありますよね。

実際のところ、床暖房を設置するメリットとデメリットはどちらが大きいのでしょうか?

まず前提として、床暖房は暖めるシステムによって2種類に分類することができます。床下に張り巡らした発熱体に直接電気を通して暖める電気ヒーター式と、温水を床下に通したパイプに通して暖める温水式です。温水式の熱源としては、主に電気やガスを使用しますが、中には両方を効率よく利用するハイブリッド型もあります。

それぞれの方式による違いも含めて、床暖房のメリット・デメリットをご紹介しましょう。

床暖房の一番のメリットと言えるのは、床からじんわりと部屋全体を暖められるので快適な空間を保ちやすいという点です。

ご存知の通り、暖かい空気は上に向かって流れていくのですが、床暖房なら常に下から熱が放出され続けるので、上と下での温度差が生じにくく、部屋全体を心地よくほんわりと暖めてくれます。

エアコンのように上から温風を吹き付けるタイプの暖房器具ではこれは不可能です。しかもエアコンや石油ストーブを使うと気になる乾燥や換気の問題も、床暖房とは一切無縁です。

実際、床暖房を1階全面に設置している友人の家を冬場に訪れると、その自然な暖かさと快適さにいつも驚かされます。

また、耐用年数が比較的長いのも特徴です。一般的な暖房器具の耐用年数は10年前後ですが、床暖房は1度設置したら、30年以上使い続けることができるとされています。ただし温水式の場合は、10年前後で温水をつくる熱源機の交換が必要になります。

一方で、床暖房の最大のネックとなるデメリットは、やはりコスト面でしょう。

床暖房を設置する初期費用はどのようなシステムを選ぶかや設置面積にもよって異なりますが、50万円から100万円ほどはかかるものとみておいた方が良いでしょう。

ランニングコストもエアコンや石油ストーブなどの一般的な暖房器具と比べると、数倍になってしまうことが想定されます。ただし電気ヒーター式に比べ、温水式の方がランニングコストは低く、中には半分以下になるタイプもあるので、コストパフォーマンスの面では勝っていると言えるでしょう。

また、室温を上げるのに比較的時間がかかるのも床暖房の弱点です。直接熱源を感じられる据え置き型の暖房器具と違って、床暖房の場合は床下から徐々に部屋を暖めていきます。その特性上、部屋にいる人が暖かいと感じられるまでには、数十分から1時間程度はかかってしまいます。

場合によっては、床暖房が十分に効くまでのつなぎとしてエアコンなど他の暖房器具を併用することもあるでしょう。

このように、床暖房に関して一般的に言われているコスト面の問題や暖まりの遅さなどの弱点は決して間違ってはいません。ただ、実際に設置した人の中には、それを考慮しても床暖房ならではの快適な暖かさは他の暖房器具とは代えがたいという人が少なからずいます。

おそらく予算との相談にはなりますが、余裕があればぜひ床暖房の設置を検討してみてはいかがでしょうか?